2010年5月15日 (土)

甘え@青山円形劇場(2010.5.13)

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劇団本谷有希子 第15回公演。小池栄子、水橋研二、安藤玉恵、広岡由里子、大河内浩出演。

妻に逃げられた父と二人で暮らしているじゅんは、毎夜寝ながら涙を流す父を殺害する計画を練っていた。ある日、輪姦された先輩のことを好きだと相談してきた友人・きょうこに対して、「なんで夜這いって文化がなくなったか知ってる?」と話し始めるじゅん。考え方によっては、男性からの誘いを断らないきょうこをある意味「美しい」と…。

主人公をはじめとする登場人物がちょっといかれているのはいつも通りなんだけど、いかれ具合は弱めかな。面白いけど、やや消化不良な感じ。でも、最後の方の小池栄子の変わりようは十分に楽しめた。

輪姦しようとした先輩や誰とでもセックスしてしまうきょうこと、まともな倫理観を持つじゅん。じゅんに影響されて先輩ときょうこがまともになっていくが、じゅんも自分の倫理観や価値観を変えようとする。その姿がものすごく妙で印象的。まぁ、それを演じる小池栄子がよかったってことなんだけど。結構きついイメージあるけど、あんなおとなしい演技もアリなんだね。それにきれいだった。

2010年2月13日 (土)

なにわバタフライ N.V@シアタートラム(2010.2.12)

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三谷幸喜作・演出、戸田恵子出演。喜劇女優・ミヤコ蝶々の一生を題材にした一人芝居を、「ニューバージョン」として再演。劇場は世田谷パブリックシアターの小さい劇場。

芸事好きの父に育てられ、芸人として仕込まれた蝶々。挙句の果てに父は蝶々を座長とする旅芸人の一座まで結成する。その後、芸人人生を歩みながら、恋をし、2人の男性と結婚し、離婚するという彼女の一生が語られる。

前回の上演は観ていなかったので、戸田恵子の一人芝居がどんなものかちょっと不安だったのは確か。でも彼女が普通に舞台に登場し、挨拶し、舞台を作り、一人芝居の説明をするという導入を通して、徐々にその世界に引き込まれてしまった。

一人芝居って、相手が話したことを自分の台詞として繰り返す手法と、一人二役のように相手の台詞も一人でしゃべる手法は想像していた。まぁ、どちらも少し取り入れていたけど、基本的には戸田恵子の台詞だけで進む。相手の台詞は聞こえないが、それを観客に想像させる手法が中心。登場する男性たちは、額縁のようなフレームを使って表現していた。その場面に登場しているのかどうか、どこを向いているのかをフレームの置き方で変えていた。正直な感想は「うまいこと作ったなぁ」。芝居ってこんな可能性もあるんだな。

三谷作品本来の面白さは減少するが、その分、女優・戸田恵子の魅力が前面に出た感じ。ミヤコ蝶々の人生がすごいのか、戸田恵子がすごいのか…。とにかく戸田恵子がかわいく感じる作品。

2009年8月 9日 (日)

来来来来来@本多劇場(2009.8.7)

Photo 劇団、本谷有希子の第14回公演。今回の主演はりょう。

山間にある麩を揚げる工場に嫁いだ蓉子(りょう)は、新婚1ヶ月で夫に逃げられる。蓉子の夫に対して異常な愛情を注いでいた姑と、その姑にいじめられている兄嫁との生活を続ける蓉子。工場に働いているのは、義父との肉体関係を望む女性と、周りの男性と寝まくっている「あそこがやさしい」女性。そして、家の中に作られた野鳥園に来ている常連客の女子高生。この6人の女性が繰り広げる人間関係の歪みを描いた作品。

夫に逃げられた蓉子は、姑や兄嫁から辛い仕打ちを受けながらも、「逃げたくない」との思いだけでがんばろうとする。彼女の支えは、結婚前に夫が約束してくれたこと─羽を広げた野鳥園の孔雀を見ること。どうしようもない状況で、彼女は救われるのか?

今回の登場人物も皆どっかいかれてる。一見普通っぽいのに、実はいかれてるって描き方がなんとも絶妙。その絶妙な加減が笑いにつながるというパターンは本谷さんの王道。今作は、そのいかれ具合の迫力がすごかったなぁ。あっけらかんとした感じが抑えられているから、ちょっとじめっとした印象になったからかもしれないけど。

蓉子のがんばり方は、当初「共依存」を思わせる状態だったけど、後の展開でSMっぽい自虐性に変化していった気がする。その変化がストーリー上唯一の「救い」か…。とても現代っぽい芝居だ。

救われない感じだけど、観終わった後のすっきりした感覚はなんだろうなぁ。でも、もやもやした感じも残ってる…。他の人には出せない魅力じゃないかな。とにかく面白かった。

2009年2月 2日 (月)

29時@新宿THEATER/TOPS(2009.1.31)

29hour_poster_s 自転車キンクリートSTOREの芝居。

深夜の敷石(40代女性)の自宅。茶川(30代男性・妻子あり)が訪ねてきたが、そこにいたのはフリーライターの道端(40代男性)。敷石宅の窓からスクープ写真を狙っていた。茶川は、敷石の友人の結婚式に上映するお祝いのアニメ制作を手伝うために呼ばれていた。同じくアニメ制作の手伝いで呼ばれたイケメン・百瀬(20代男性)が帰ってくる。テーブルにはお祝いとは程遠いウェディングケーキが…。そして気分転換から戻ってきた敷石は、「この結婚を祝う気になれない」と言い放つ。

自分の恋愛を面倒くさがる道端、才能もあるしイケメンなのに人を好きになれない百瀬、一番好きな人と付き合ったことがない茶川、そして恋愛経験のない敷石。それぞれ恋愛ダメ話を中心に物語は朝方までまったり進んでいく。

大した結末もないし、それぞれ抱える問題は全然解決しない。でも、日常ってそんなもんだよな。ちょっと普通じゃないけど、その日常を切り取った感じ。やっぱり飯島さんの脚本ってそういう日常の中の面白さを描くのがうまい。

2008年12月23日 (火)

中野ブロンディーズ@新国立劇場 小劇場(2008.12.21)

Photo オタク少女を主人公にしたチアリーディング・ミュージカル。

中野ブロードウェイにある書店「ブロンズ」の常連客みずきは、マンガが大好きな女の子。ある日店主のすみえから「ブロンズ」を閉めると聞かされたみずきは、ブロンズを閉めないでほしいとお願いする。すみえが交換条件として出したのはチアリーディング大会での入賞だった。みずきがネットの掲示板で募集をかけ、集まったのは個性豊かなオタクの女の子たち。チアをやったこともないし、やりたくもない子たちをまとめて入賞することができるのか?

オタクの女の子たちはそれなりにバラエティに富んでて、ギャル系マンガ好き、RPGオタク、戦隊ものオタク、ゴスロリ系オタク、コスプレ好きオタク、そして田舎者のオタク。大会出場には8人が必要だからカフェで声をかけた一般人が後で追加。

戦隊ものオタク以外みんなオタクだから運動苦手だし、協調性もない。でも好きなマンガが同じだったりして徐々に分かり合っていくってこと。田舎者とギャルがガンダムに出てくるセリフで意気投合する場面なんかは結構面白い。

ただ、ストーリー自体はちょっと浅いかな。展開がわかりやすいんだよね。まぁ、そういうタイプの芝居じゃないから仕方ないんだろうけど。基本的には出てる女の子のかわいらしさと歌と踊りで見せるタイプの舞台。そういう意味では結構よかった気がする。特に大会に出場したときのチアリーディングはそれなりの見ごたえ。

誰が好きとかない状態で観たので、どの子がかわいいのかな?って思いながら観るのはちょっと楽しかったかも。個人的には唯一の一般人おときさん役をやっていた子がよかった。彼女の練習着姿はちょっとドキッとするね。

※名前とか知らなくてすみません。主演のAKINAがFOLDER5の子だとか、AKB48の子が誰だか今調べて知りました…。しかもこれ再演だったんだね。

2008年11月 1日 (土)

幸せ最高ありがとうマジで!@PARCO劇場(2008.10.30)

Stage5617_1 本谷有希子作・演出、永作博美主演の芝居。

新聞販売所に突如現れた女(永作博美)は、社長の愛人だと名乗る。妻は戸惑いながらも、女を無視することに決め、娘・息子とともに謎の女を追い返した。しかし一旦追い出された女を、販売所に住み込むバイトの山里がかくまうことになった…。

前に観た「偏路」もそうだったけど、最初おかしな人が現れるが、実は周りの人もおかしな部分を持っているって話なんだよね。その書き方がうまいと思う。そしてその「おかしな人」とか「イタい人」の描き方も…。今回は永作博美がその役。

住み込みのバイト・山里のリストカットを小ばかにし、自分は「明るい人格障害」だと豪語する女(あかりという名前らしい)。自分は美人だし、頭もいいし、金も持っている。心を病む理由がないことが悩みだと話すあかりの姿はかなり「イタい」。まぁ、序盤でわかるからネタバレってほどじゃないから書くが、愛人だということも嘘。他人の不幸が見たいから起こした「無差別テロ」らしい。あかりが煽ることで山里が社長への復讐を始め、社長、妻、息子の病んでる側面が明らかになっていくのだ。誰でも病んでいる部分を持っているし、誰にでもふとしたきっかけで不幸が訪れるってことか。でも、それも日常生活へと戻っていけるってことも示唆している気がする。

確かに面白い!

でも万人には受け入れられないんだろうなぁ…。ま、それでいいんでしょ。万人に受け入れられる作品を書いたらつまらなくなりそうだし。今後も期待です。

ちなみに永作博美はめちゃめちゃきれいだった。なんだろうここ1年くらいの復活具合は。今が一番魅力的とさえ思える。

2008年3月17日 (月)

岡本でございます!@THEATER TOPS

Photo 西村雅彦の芝居を観に行った。ラジオドラマだったものを芝居にしたやつらしい。

全国最低の投票率を誇る都市の市議会議員選挙が舞台。選挙に立候補した新人・岡本(西村雅彦)と、岡本に雇われた伝説のウグイス嬢を中心に描く。岡本は組織票もなく、お金もない。そして口下手。おまけに立候補の理由も「なんとなく」。雇ったスタッフはウグイス嬢一人。一方、同じ新人候補の井上は、兄が代議士。党の有能な選挙対策スタッフを迎え、万全の選挙戦を挑む。岡本たちは1週間の選挙戦を戦うことができるのか?

告示から投票までの1週間。岡本と井上の両陣営を、笑いをまじえ描いていく脚本は面白かった。演じる舞台がころころ変わっても、すべて小道具で演じきる俳優陣の演技力もさすが。やはり岡本を演じる西村雅彦のキャラクターが一番の魅力か。

岡本と井上の両陣営に加えて、若いカップル(夫婦)のエピソードも間に挟まれる。一見関係ないんだが、後々岡本との関係が明らかになっていく。不要な気もするが、アクセントになっているし、選挙を市民の側から見るという役割も果たしているのでアリなのかな。

岡本のまわりには、その人柄に引き寄せられるようにスタッフが集まってくる。人前で演説なんてできずに逃げ出してしまっていた岡本が投票日前日に行う街頭演説がクライマックス。その語る言葉はなかなか重みがあって、心に響くものだった。

二時間ドラマにならできるんじゃないかな。もっとたくさんの人に観てほしい作品だ。

2008年1月21日 (月)

PTA@吉祥寺シアター

Pta 劇団ホチキスの第21回公演。

舞台は小学校の教室。とある女教師が交通事故で亡くなったことをきっかけに「自転車運転免許」制度を創設されようとしていた。会議の出席者は教師と児童の親、いわゆる「PTA」だ。事故で亡くなった先生の遺志を受け継ぐために、簡単に済むはずだった会議が徐々におかしな方向へ流れていく。なんでも規則で生徒たちを縛ることへの反対派と、事故を予防するために「免許」制度必要派にわかれて議論を闘わせることになるのだ。まるで裁判のように…。

初めて見る劇団だったのだが、とても面白かった。とにかく脚本がいい。登場人物のキャラクターがきっちり立っているから、合間にはさまれるそれぞれのエピソードや小ネタも楽しめる。もちろんそれを演じる役者たちの力量なくしては成り立たないものだが。

本筋の「自転車運転免許」の話とは別に、学校を査察に来る教育委員会の人間が誰なのか?というミステリーっぽい話と、校長からの要求に振り回される教頭の話などが入り交じっていくところはすばらしかった。

正直、「免許」制度反対派と賛成派に別れてのプチ裁判の流れと、亡くなった女教師・等々力先生の事故原因を探るあたり、実はこんな人だった的な登場人物の描き方は、三谷幸喜の「12人のやさしい日本人」を連想してしまう。まぁ、オマージュ的な扱いで笑える程度なんだけど。

このシーンは伏線で、後で関係ある展開になるんだろうなぁって思ってると、きちんと押さえてくれる。一番気になったのが「カッパー!」の使い方。なるほど!そう使うか!w って感じで笑えるシーンだ。お気に入りの一つ。

笑いの中に、今の教育現場への皮肉を交えたり、ヒューマン・ドラマを交えたり…、とバランスのよい作りになっていた。普段芝居を観ている人だけでなく、教育関係者、小学校に通う子どもを持つ親が観ても楽しめて、考えさせられる作品だったと思う。今後の公演も注目していきたい。

2007年12月20日 (木)

偏路@紀伊國屋ホール

Photo 劇団本谷有希子の第13回公演。

正月、親戚の家に泊まりに来た父と娘。そこで、東京で役者を目指していた娘が実家に戻りたいと告白した。夢をあきらめると言う。それまで苦労して色々援助してきた父は怒り、それならば自分が好きなように生きる、代わりに東京へ行くと言い出す。叔母や従兄妹たちが仲裁に入る中、娘は無事夢を諦められるのか?

本谷有希子の書くものは初めて見たが、面白かった。夢を追い求める人間のエゴを、田舎で「退屈」な日常を送る親戚たちとの対比でうまく描く。でも、「退屈」な日常を送る親戚たちも、決して平穏ではないってことも表現しているので、全体的に毒があって歪んだ話という印象を受けた。そこがいい。

単純に「幸せな家庭」ってわけじゃなかった親戚たちを見てなお、「うすっぺらい」と言い切った娘の台詞はかなり印象的。でも、その娘も従妹に「うすっぺらい」と言われ、「かわいそうな子」的扱いを受ける。

面白いよなぁ。この人の他の作品も知りたくなってきた。

ちなみに父親役に近藤芳正がキャスティングされていたが、普段と同じようでちょっと違う役柄だった。この微妙な違和感もいい。

2007年10月31日 (水)

ツーアウト@THEATER/TOPS

Twoout_poster_l 飯島早苗さんが脚本・演出を担当した、自転車キンクリートSTOREの芝居。

舞台は草野球の試合の3塁側ベンチ。負けてばかりの草野球チーム・ホケッツの監督・秀吉とスコアラー・草野が座って試合を見ている。実は今朝妻が家出したと告白をする秀吉。草野は試合が気になりつつも家出の理由を聞いていく。そこに登場する秀吉の会社の部下・真坂や秀吉の息子…。自分はあなたの本当の息子ではないと言い出す秀吉の息子。秀吉の妻は戻ってくるのか?秀吉親子の仲は?そしてホケッツは勝てるのか?

小道具以外はベンチが2つおいてあるだけのシンプルな舞台。1回裏…、2回裏…と役者が演じるのはホケッツが守備のとき。暗転の間に回が進んでいくという設定だ。野球の試合は基本的に効果音と草野の演技だけで語ってしまう。

小劇場ならではのアイデアと設定の生かし方だ。草野と秀吉が目線と動きで野球の場面を物語ってしまう演技力はすばらしかった。

脚本も文句なし。暗転の前にちょっとしたサプライズを入れ、次の展開を期待させる。笑いも絶えない。

演じている役者もすばらしかった。草野役のおじさんと、敵チームの助っ人・出川役が光ってたな。

芝居らしい芝居だった。数日前に「三文オペラ」を観たからよけいにそのすばらしさを実感する。

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