2010年12月 5日 (日)

希望の国のエクソダス

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村上龍著。2000年が初版だから結構前の作品。当時の近未来を語った小説。

失業率が7%、円が150円まで下落した2002年。一人の少年がパキスタンで発見される。現地のゲリラ部隊に所属していた16歳の少年は「ナマムギ」と呼ばれ、日本の中学生に多大なる影響を与えた。ナマムギの出現を契機に全国の中学生が不登校になる。その数は80万人。フリーライターの関口は、取材でパキスタンに行く道中に知り合った中学生ナカムラくんと連絡を取るようになり、不登校中学生の取材を行うことになる…。

個人的に大好きな小説「愛と幻想のファシズム」と似たイメージを持つ作品だった。でも、根本的に違う印象も。それは前作が当事者の視点で描かれていたのに、この作品では日本を揺るがしている中学生を傍で見ている関口の視点で描かれているからだ。独自のネットワークを構築し、映像配信会社で巨万の富を得て、日本社会で立地点を築いていく中学生には感情移入がしづらい描き方だ。

それは、著者のスタンスの変化が影響しているのかもしれない。以前は自ら社会を変えていこうと考えていた(ように思える)が、この時期から次世代の育成を重要視し始めた気がする。これ以降「14歳のハローワーク」が出てくる流れだから。

合間にはさまれる経済状況は、読むのがちょっとしんどいけど、全体的には先が気になってしまう話だった。

2010年11月17日 (水)

ダウト~あるカトリック学校で~(DOUBT)

51t1bxlcl__sl500_aa300_ジョン・パトリック・シャンリィ脚本・監督、メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン主演。主要なキャスト4人がアカデミーの男優賞・女優章にノミネート。

ブロンクスのカトリック学校で校長を務めるシスター・アロイシスは、進歩的で生徒に人気があるフリン神父をよく思っていなかった。ある黒人生徒への性的虐待を疑ったアロイシスは、フリン神父を追い詰めようとする…。

元々は舞台劇だった作品。それを脚本家自ら映画化したものらしい。美しい映像や画面の構図といったより台詞に重点が置かれていたのも納得。クライマックスで繰り広げられる、二人の名優の演技合戦が見物か。

しかし、残念なことに個人的には映画の世界に入り込めなかった。ラストもなんだか中途半端な印象だったし…。

ネタばれになるが、

フリン神父を追い出すことを成功したアロイシスが涙するシーンがどうにも納得いかない。殴られた方は痛いかもしれないけど、殴ったほうも痛いんだよ!ってこと?フリン神父と黒人生徒の問題は未解決のままだし。気に食わないやつを追い出して泣くって行動がどうにも理解できないなぁ。

2010年11月14日 (日)

アオイホノオ (5)

5122ahhybll島本和彦著。月刊サンデー連載。漫画家を目指す青年を主人公にした自叙伝とも言える青春漫画。

5巻で焔燃は自動車の運転免許を取りにいくことになる。5巻はそれがすべてと言ってもいい。免許話は6巻まで続くようだが…。教習所での女子との出会いや教官とのやり取りは、あるあるネタっぽい笑いだった。

最近の「アオイホノオ」の面白さは、当時連載していた人気漫画をそのまま載せ、それについての燃の感想を言わせるところにある。今回も宮下あきらや高橋留美子の漫画が取り上げられていた。それとドラえもんのオープニングアニメ。そのすごさを教習所で知り合った女の子に言いたい、でも言えないというジレンマがめちゃめちゃ面白かった。

個人的にうまいと思うのは、出版社の帯の作り方。前回も「あだち充は○○○○の描き方が全然わかってないんだ…」なんて帯を作っていた。今回は「高橋留美子は○○○○○だけで生きている!」というコピー。どちらも本編で燃が吐いた台詞で、○○にはちゃんとした言葉が入る。ここを使うか!wといううまさ。そんなこと言っちゃっていいの!?って気もするがwww

相変わらずのクオリティ。今後も期待です。

2010年11月13日 (土)

母なる証明(MOTHER)

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ボン・ジュノ監督、キム・ヘジャ主演、ウォンビン出演の韓国映画。ボン・ジュノは「グエムル」以来の監督作品。原案・脚本にも共同クレジット。

漢方薬店を営んでいた母に育てられた一人息子のトジュン。不良のジンテと仲がよかったが、頭がよくないトジュンはいつも利用されてばっかり。ある日、一人で飲んでいたトジュンは帰り道に女子高生に声をかけるがナンパに失敗する。次の日、逃げられた場所からはその女子高生の死体が発見され、トジュンが殺人容疑で逮捕されてしまう。殺人など犯すはずがないと信じる母は、息子の無罪を証明するためにあらゆる手を尽くす…。

映画としては「ミステリー」と分類されている。間違ってはいない。ジンテを疑いジンテの自宅へ不法侵入するシーンの緊迫感、真犯人が明らかになる過程…、確かにミステリーだった。でもそれ以上に印象に残るのが、すさまじいまでの母の執念だ。

若干知的障害気味の一人息子を溺愛するという図式は、ともするとありがちな母の愛情を描くように思えた。ところが徐々に過去がわかり、母の狂気と業の深さが明らかになる構成なのだ。さすがの脚本力!

母には役名がない。「トジュンの母」と呼ばれるのみ。生きる上で「自分」は必要ではなく、必要なのは「息子」だけ。そんな生き方を象徴するような設定だ。わざとそうしたのだろうか…。

真犯人が誰か?なんて大した問題じゃない。ただただ母の狂気を描ききった、迫力の映画だ。

2010年10月28日 (木)

HANDS ALL OVER / MAROON 5

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マルーン5の3rdアルバム。デフ・レパード等のアルバムを手がけたロバート・ジョン・‘マット’・ラングがプロデュース。

元々MAROON 5は好きだったけど、今回はマット・ラングがプロデュースってことがポイント。なんせ、DEF LEPPARDの「HYSTERIA」とか、BRYAN ADAMSの「WAKING UP THE NEIGHBOURS」をプロデュースした人だもの。MAROON 5とどんな仕事したか期待するでしょう。ロックよりになるんじゃないかって。

で、聴いた感想。あら、ロックではない!むしろ今までのMAROON 5よりポップな感じ。元々ロックな人をポップにすることでヒット曲(アルバム)を出してきた印象の人だったけど…。まぁ、かなり幅広くプロデュースできる人だし、先に挙げたアルバムはどれも古いからなぁ。時代にあわせたらこんな感じなんだろう。

でも、全然期待はずれってわけじゃない。むしろお気に入りの一枚になっているくらい。シングルヒットを望めるかというと微妙だけど、いい曲が揃っている。デビューアルバムから2枚連続で大ヒットしたバンドが出す3枚目としては上々の出来。「3枚目は駄作が多い」ジンクス(勝手に思ってるだけだが…)をうまいこと破ってくれた。

期待が大きいとがっかりするかもしれないが、ニュートラルな状態で聴けばかなりいいアルバムでしょう。

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